【新型コロナウイルス法律相談】会社は労働者の給与を減額できるのか

【新型コロナウイルス法律相談】会社は労働者の給与を減額できるのか
Pocket

新型コロナウイルスの影響で相談が急増

 

新型コロナウイルスによる緊急事態宣言により完全に経済が停滞しています。

私のもとにも、会社から給料の一方的な減額を通知された、とか、1ヶ月休業を通告されたという友人・知人からの相談が多数寄せられています。

給与の減額は特に会社員にとっては死活問題です。

 

そこで今回は、会社側による労働者の給与の減額は法律上可能なのかについて解説します。

 

一方的な給与減額は原則無効

労働契約法第8条は、「労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる」と規定しています。

これは裏を返せば、使用者(会社側)は、労働者の労働条件を一方的に改悪することができないということです。

 

つまり、会社側から給与を減額すると通知や提案されたとしても、同意をしなければ、法律上かかる減額は無効であり、労働者は減額分の給与を会社側に請求できます。

 

会社がやむなく一方的に労働者の給与を減額する場合には、

① 給与を減額しなければ会社がつぶれてしまうといった経営上の必要性

② 給与減額の前に経費削減等を行う企業努力(給与の減額は最後の手段)

③ 社員に対する事前の説明や質疑の場の設定といった手続保証

④ 経営陣や管理職などの職位の高い人間(給与の高い人間)から順に給与削減するといった合理的手順

⑤ 給与減額する分、当該労働者の出勤日や労働時間を減らすといった労働条件上の手当 等

 

これら要素によって合理性が判断されるとされていますが、その判断も相当に厳格になされます。

したがって、一方的な給与減額は、会社としては法律上のリスクを背負うという覚悟をもって行うことが必要になります。

 

このような合理性がないにもかかわらず、労働者の同意なく会社が一方的に労働者の給与を減額することはできません。

 

会社と労働者との合意とは何か?

 

就業規則や労働協約に、あらかじめ経済状況等によって給与減額ができるといった規定がある場合には、就業規則や労働協約の規定に基づいて、減額ができる可能性があります。

就業規則や労働協約は、会社と社員との間で個別に合意されたものではありませんが、法律上必要な手続を経て作成や変更を行うことが求められることによって、会社と個々の社員との間で合意があるものとみなされる効果があるためです。

しかし、経済状況等によって給与減額ができるといった規定が就業規則等に記載されていることはあまりないと思われます。

 

そこで、通常、会社側は労働者に給与減額について説明・提案をして、合意書にサインしろと迫ってくるものと思います。

ここで、きちんと拒否すれば、会社が行う給与の減額は一方的な労働条件の改悪とみなされ、ほとんどのケースでは給与の減額は無効と扱われます。

 

意思に反して減額に合意してしまったら・・

 

とはいえ、通常会社側からこのような申し出をされた場合、断りにくいというのが実情ではないでしょうか。解雇をチラつかせて給与の減額を迫るというケースも多くあると聞きます。

その場の雰囲気に流されてサインをしてしまったという事例も多くあると思います。

 

通常、合意書にサインをしてしまったらそれを覆すのは非常に難しいのが実情です。

会社から強迫されてサインしてしまったとか、自由意思に基かないサインだという争い方はあるものの、いずれも裁判等で覆す必要があるのでハードルが高いです。

 

従って、とにもかくにもサインをしないことです。

会社から合意書へのサインを促されても、その場でサインをすることなく、まずは会社の提案を持ち帰りましょう。

 

 

一方的な減額は会社側にもリスクがある

 

使用者の合意がないにもかかわらず、一方的に使用者の給与を減額することは、会社側にもリスクがあります。

新型コロナウイルスが蔓延し、全世界的に経済活動が麻痺している状況では、本当に会社としても苦渋な選択をせざるを得ない場合もあるでしょう。ただし、一方的に労働者の給与を減額することは、最後の手段とすべきです。

 

万一、使用者が給与を一方的に減額されたとして会社と争ってきた場合、合意書等がなければ、会社は不利な立場におかれてしまいます。

労働者側は、差額の給与分の請求のみならず、精神的慰謝料も請求してくるでしょう。

また、労働審判や裁判となれば、弁護士費用や裁判費用もかかり会社の負担となりますし、レピュテーションのリスクもあります。

さらに、会社が裁判等で敗訴した場合、付加金といって、労働者の請求により、未払金と同額の支払いを裁判所に命じられる可能性もあります(労働基準法第114条)。

 

このように、会社側が労働者の同意なく労働者の給与を減額することは、会社にとっても極めて高いリスクがあるといえます。

 

 

まとめ

 

会社から給料の一方的な減額をすることは原則として無効です。

当然昨今の状況に鑑みて、納得の上で減額に応じることも労働者の自由ではあります。

ですが、労働者は、そのような提案をされても、自分の意思に反してまでむやみに同意しないことをおすすめします。

 

会社側も、労働者の同意なく労働者の給与を減額することは、大きなリスクがあることを十分に認識した上で減額を行うべきです。

 

 

 

Pocket