仮想通貨が担保に!フィンテックが導く新時代のローン

遂にここまできたー仮想通貨を担保にしたローン
先日、ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨を担保にした新型のローンがアメリカの金融市場で注目されているという新聞記事を見つけました。
有料記事ですがネットでも読めるようです。
日本経済新聞 (2019年4月19日付)
同記事によると、アメリカのアトミック・キャピタル社が、仮想通貨担保ローンを開発して脚光を浴びているということです。
同社のCEOである アレクサンダー・ブラム氏は、マサチューセッツ工科大学卒の30歳。
私よりも随分お若い!
(出典)Atomic Capital社ホームページ
同社によれば、仮想通貨を保有し長期投資したいが、足元で現金が欲しい投資家をメインターゲットにしているそうです。
ローンの貸し出し金利は年率11~13%程度、担保としての評価額は仮想通貨の価値の80%程度となるそうです。
ビットコインの上昇トレンドを反映
ローンの中身ですが、年率11~13%程度とは結構高いですね・・
アメリカの政策金利が現在2.5%ですから、それを大幅に上回る金利です。
まだまだ仮想通貨が担保としてはハイリスクという考え方が反映されています。
他方、仮想通貨のボラティリティの高さからすると、担保評価額が仮想通貨の価値の80%程度となるのは、けっこう高く評価されているなという印象を受けました。
昨年のような仮想通貨業界の暴落期では、貸付時の仮想通貨の価格が貸付金額の80%以下になることなど、ザラにあり得るからです。
記事によれば、貸し手のリスクヘッジとして、オプション市場でコールやプットを購入したりする手段も講じるということのようです。
つまり、貸し手は、価格変動リスクヘッジのために、担保としている仮想通貨をトレーディングできるということです。
しかし、貸し手側がうまくトレーディングできなければ、リスクは当然ついてきます。
現状、ビットコインを始めとする仮想通貨はトレンド転換して上昇トレンド入りしているといわれています。
仮想通貨ホルダーである借り手側からみれば、
『上昇トレンド局面では仮想通貨を売らずに長期で保有しておいた方が、年率11%~13%という金利を支払っても、ローン完済の段階では保有仮想通貨の価格上昇分で金利分をカバーできるので得』という考え方が成り立ちます。
ローンの貸し手側から見れば、リスクヘッジのための手段があるとは言え下落トレンドのさなかでは、仮想通貨を担保に現金を貸すということは躊躇するはずです。
他方で上昇トレンドのさなかであれば、ローンの貸し手も、担保としている仮想通貨の価格が貸付金額を下回ることはあまり心配せず、リスクオンで高金利貸付が可能になります。
このような金融商品が開発され、注目されていること自体、仮想通貨に対するネガティブな印象が払しょくされ、金融業界が仮想通貨の今後の価格について強気になっていることの証左ではないでしょうか。
仮想通貨が資産証明に
私自身、これと似たような経験をしたことがあります。
ニューヨークに引っ越してきて、アパートの契約をしようとしたときのことです。
アパートのオーナーから、契約の前日になって、急遽家賃1年分の資産証明を求められました。
家賃が約23万円(不動産価格が値上がりを続けているマンハッタンでは安い方です)でしたので、約276万円の資産証明です。
その時には、アメリカの口座にまとまった現金がなく、困り果てました。
そこで、ダメ元で、保有仮想通貨の口座残高の写しを提出し、これで資産証明させてほしいと交渉することにしました。
担当者は、仮想通貨での資産証明は前例がないと渋っていましたが、ビルのオーナーさんが理解のある方で、OKが出たのです。
仮想通貨で資産証明するというのは、日本だとまず考えられないので、すんなりOKが出てびっくりしました。
後から知ったことですが、私のアパートのオーナーはユダヤ人でした。
世界の金融を支配すると言われるユダヤ人。
ユダヤ人オーナーの目には、私の保有仮想通貨は、きちんとした資産価値のあるものと映ったのでしょう。
日本でも仮想通貨担保ローンは実現するか?
記事の最後には、通常の資本市場があり、貸し手と借り手のバックグラウンドチェックがしっかりしていれば日本を含めたサービスの提供はできるというアレクサンダー・ブラムCEOのコメントが載っていました。
日本の金融庁は、コインチェック事件後、仮想通貨業界を規制する方向に舵を切っています。
当然、野放しにしてはいけませんが、かつて資金決済法でいち世界に先駆けて仮想通貨の存在を法律で認め、これから世界をリードすると言われた日本が、仮想通貨業界でどんどん世界から遅れている状況は若干歯がゆく思います。
金融庁がこのようなサービスをすんなりOKするか解りませんが、アメリカや世界でフィンテックが進んでいる状況に乗り遅れないように、日本でも同様のサービスが使えるようになるといいですね。
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