ウーバーの運転手は労働者?ウーバーが抱える爆弾

ウーバーの運転手は労働者?ウーバーが抱える爆弾
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ライドシェアの雄ウーバー

 

みなさん、ウーバーをご存知でしょうか。

名前は聞いたことあるけど利用したことはないという方も多いと思います。

 

ウーバー(Uber)は、2009年3月にアメリカ・サンフランシスコにあるウーバー・テクノロジーズ社が立ち上げた配車サービスです。

一般人でもドライバーになれ、ウーバーのアプリを利用して、利用者とドライバーをマッチングするサービスが一般的です。

 

最近ではUberEatsというレストランからのデリバリー、患者の病院送迎サービス、貨物輸送・宅配サービスなども提供していますね。

 

ウーバーは、アメリカを始めとして海外ではかなり人気のサービスです。

特にアメリカの田舎街に行くと、タクシーはほとんど利用されておらず、ウーバーを利用する人がほとんどです。

 

値段も、タクシーを利用するよりも割安ですし、ウーバーの提供するスマホアプリで行先を打ち込むと、行先までの値段が予め表示されます。

タクシーのようなぼったくりの心配もありません。

 

場所にもよりますが、よほど辺鄙な場所にいない限り、呼び出してから、だいたい5分以内にはドライバーが到着します。

 

日本でも一応ウーバーのサービスは利用できますが、日本では白タク行為が法律で禁止されているので、アメリカで提供されているサービスと異なり、一般人がドライバーとして登録することはできません。

 

何度か日本でもウーバーを利用しましたが、値段はタクシーの利用よりも割高です。

どちらかというとハイヤー事業に近いのかもしれません。

 

 

満を持して上場も公募割れ

 

ウーバー・テクノロジーズ社は、去る5月10日にニューヨーク証券取引所に上場しました。

 

公募価格は45ドルでしたが、初値は1株42ドルとなり、残念ながら公募割れの厳しい船出となりました。

 

様々なニュースによる論評がありましたが、米中貿易摩擦の激化でダウ平均株価が落ち込んでいるのに加えて、ウーバーの赤字体質が不安視されたといった報道が多かったように思います。

 

株価はその後若干持ち直し、本日現在では約44ドルで取引されています。

まだ、公募価格を下回る価格ですので、IPOで購入した投資家は、残念でしたね。

 

 

弁護士の視点でみたウーバーの抱える爆弾

 

多くの報道ではウーバーの赤字体質が問題といった点が論評されていますが、私が注目したのは以下の報道です。

 

日本経済新聞2019年5月10日:ウーバー、リスク抱えての上場 失われた高揚感

サービスを担う運転手の一部からは、雇用関係を認めるよう求める訴訟を世界中で起こされている。英国の雇用審判所は、現地で起きた訴訟の中で運転手は自営業者ではなく労働者であると認定し、仏最高裁も料理配達サービスの運転手はウーバーと「従属関係にある」と雇用関係を示唆する判断を示している

 

これまでのウーバーのビジネスは、一般の人がドライバーとなり、ウーバーを利用したいユーザーとドライバーをマッチングすることが基本となっていました。

ウーバーはドライバーを雇用しているのではなく、単にマッチングしているだけであり、ドライバーとユーザーのマッチングが成立し運送契約が完了した段階で、ユーザーが払う運賃から一部を徴収するというビジネスです。

 

このビジネスが秀逸なのは、グーグル(Google)、アップル(Apple)、フェースブック( Facebook)、アマゾン(Amazon)といった、いわゆるGAFAと同様に、ウーバーもプラットフォームビジネスであるという点です。

ウーバー自身は、ドライバーもドライバーが有する車も、車を保管する倉庫も所有していません。

ウーバーが用意しているのは、ドライバーとユーザーをつなげるためのプラットフォームに過ぎないのです。

そして、ここから得られた膨大な顧客情報や利用情報は、次の投資や他のビジネスにおいて莫大な利益をもたらしてくれます。

 

しかし、もしドライバーがウーバー・テクノロジーズ社の従業員であると判断されてしまった場合、ウーバーのビジネスが根底から覆される可能性があると思います。

なぜなら、従業員を雇用する会社としては、ドライバーが売り上げを挙げなくても、固定給を支払わなくてはならず、長時間働いた従業員には残業代もきちんと払わなくてはなりません。
その他、雇用保険やら組合の問題やらが生じます。

 

現在世界で訴訟が起きているようですが、各国の判決によってはウーバーのアイデンティティが失われてしまうのではないかと懸念しています。

ウーバーの他にも同じく上場を果たしたリフトなど、他のシェアリングサービスにも大きな影響を与えると思われます。

 

 

従業員かどうかのメルクマール

 

日本でも、従業員なのか請負委託を受けた者なのかが争われることは多くあります。

 

少し前に問題となった偽装請負などの問題も同様です。

 

請負という形態をとっているが、実際は従業員のように扱われるということは多いのです。

会社の側からすれば、従業員として雇用してしまうと解雇し辛いため、請負契約という形にして、いつでも契約打ち切りにできるようにしておきたいというニーズがあります。

 

両者を区分するメルクマールとしては、日本の裁判所では、

 

● 会社が指揮命令している

● 勤務場所や時間が会社によって拘束されている

● 報酬が他の従業員と同じ

● 会社の備品等が支給されたり名刺に会社の従業員のような肩書がある

 

などの点が判断要素として検討されます。

 

日本の裁判所の従来のメルクマールに従えば、ウーバーのドライバーを従業員と判断するのは難しいかなというのが個人的な印象です。

なぜなら、ドライバーはウーバーの指揮命令に拘束されていませんし、勤務場所も時間も自由に選べます。報酬も、完全に歩合ですし、ウーバーのドライバーになるためには、自分の車やスマホを利用するほかありません。

 

ただ、これはあくまで日本の裁判で過去に用いられるメルクマールですので、他の国では当然違った判断になると思います。

また、日本の裁判所でもこのような事案が争われたことはあまりないと思います。

シェアリングビジネス自体が新しいビジネス領域なので、今後、ウーバーのようなサービスが広まるにつれて、日本でも新しい判例が出てくる可能性もありますね。

 

いずれにせよ、ウーバーの訴訟の帰趨は大変興味があるので、ウォッチしていこうと思います。

 

 

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